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投稿日時:2026.07.05
「今日、誰とも話してないかも」。在宅勤務をしていると、そんな一日に心当たりがある人も多いのではないだろうか。
通勤がなくなり、自分のペースで働ける在宅勤務は多くの人にとって理想の働き方のはず。これまでの研究では、リモートワークができるのであれば給与の4〜10%を引き換えにしてもいいと考える労働者も多いという結果が出ていたほどだ。
だが、世界的学術誌『Science』に掲載された最新の研究は、その「心地よさ」の裏にひそむ思わぬ落とし穴を指摘した。
この研究を率いたのは、ニューヨーク連銀のエコノミスト、ナタリア・エマニュエル氏。チームは在宅でも成立する「リモート可能」な仕事と、外科医のように現場が必須な「リモート不可能」な仕事を、米国の大規模調査5件で比較した。
リモート可能な職種で働く人は、勤務時間中にひとりで過ごす時間が58%増加。「誰とも一言も話さない日」を過ごす確率は72%も増えていた。エマニュエル氏によると、この「誰とも話さない」状態とは、カフェの店員に会釈することもスーパーで誰かとすれ違う瞬間さえもないような状態を指すという。
同時に在宅勤務をする労働者は、不安や気分の落ち込みを訴える人も増えており、心療内科の受診や薬の処方も増加。特にひとり暮らしの人ではその傾向が強く、「誰とも接触しない日」の増加率は83%にのぼった。
なぜ、これほどのリスクがあっても在宅勤務を選んでしまうのか。シカゴ大学の行動科学者ニコラス・エプリー氏は「通勤のストレスはすぐに実感できるけれど、雑談が失われる影響はじわじわとしか現れない」と米nprに話した。目の前の不便さには敏感でも、静かに積み重なる孤独のコストには、案外気づきにくいということかもしれない。
とはいえ「だから全員オフィスに戻すべき」という単純な話でもない、とエプリー氏。在宅勤務が生産性を高めるという研究も多く、育児や介護中の人、神経多様性のある人にとっては特に助けになるという声もある。実際、Gallupの2026年調査でもZ世代の71%が「フルリモートよりハイブリッドがいい」と答えている。
だからこそ、在宅勤務と上手につきあうコツは「意図的に人と関わる余白をつくる」ことだという。
毎日決まった時間に散歩に出てみる、仕事終わりの予定を先にカレンダーへ入れてしまう、ひとり暮らしならたまにカフェやコワーキングスペースで作業してみる。
どれも小さな工夫だが、在宅の快適性や生産性を維持しつつ、孤独がもたらすリスクを防ぐためには重要な対策だ。また会社側も、出社日には仲のいい同僚と時間を合わせられるよう調整するなど、「行けば誰かに会える」空気づくりをしていくことが、多様化する働き方を支えるカギになるだろう。
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