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投稿日時:2026.04.12
サステナビリティの推進をリードしてきた欧州では、今サステナビリティをめぐる規制が新たな段階に入りつつある。その中核であるDPP(デジタル・プロダクト・パスポート)の採用が、2026年から段階的に進んでいく予定だ。
EU圏外の企業であっても、EU圏で流通する製品が対象となるため、いずれそのスタンダードは世界中の企業と消費者へと及んでいくことが想定される。一体、どのような取り組みなのか。
これまで環境配慮への取り組みは、企業姿勢として語られることが多かったが、EUでは新たな規制により「義務」として再定義され始めている。
EUが取り組みを進めているのは、製品の設計から廃棄・再利用に至るまでのライフサイクル全体を対象にした包括的な規制で、その中核を担うのがエコデザイン規則(ESPR)。
この規則は2024年7月に発効しており、対象となる製品領域を大幅に拡張しながら、サステナビリティを製品要件として組み込むことを目的としている。
こうした流れの中で、製品の環境情報を可視化する新たな仕組みとして注目され、2026年より採用が予定されているのが「DPP(デジタル・プロダクト・パスポート)」だ。
DPP(デジタル・プロダクト・パスポート)とは、製品ごとに環境関連の情報をデジタルで管理・共有する仕組み。
その情報には、原材料の種類や調達元、製造過程における環境負荷、修理履歴、さらにはリサイクル方法まで、製品のライフサイクル全体に関わるデータが紐づけられる。
この制度はESPRの中核的要素として位置づけられ、2026年以降、製品の分野ごとに段階的な導入が進められる。
環境負荷が高い分野から段階的に採用が進む予定で、バッテリー分野に始まり、その後、繊維や電子機器などへと対象が広がり、2030年頃には多くの製品カテゴリーに適用される見込みだ。
これまで製品のサステナビリティを証明する環境ラベルや認証は存在したが、それらが「基準を満たしているか」を示すものであったのに対し、DPPの特徴はその裏付けとなるデータそのものを開示する点だ。
また、この情報は消費者もスマートフォンなどを通じて確認できる。これにより「見せかけのサステナブル製品」いわゆる“グリーンウォッシュ”された商品を消費者が見分けられるようになるため、企業のサステナビリティへの取り組みの質が底上げされることも期待されている。
DPPの導入により企業が直面する課題は小さくない。製品単位で原材料の供給元からリサイクル方法まで一括したデータ管理が求められるため、サプライチェーン全体にわたる情報の統合が不可欠となる。
従来の情報管理体制では対応が難しいケースも考えられるうえ、知的財産の保護などの問題もある。
また、EU市場に製品を投入するすべての企業が対象となるため、日本企業も決して人ごとではない。EU市場で流通させる大手をはじめとした企業が、EUのサステナビリティ規制に対応していくことで、各国の市場にも影響を及ぼすはずだ。
企業にとっては負担のある制度だが、一方でこれまで真摯にサステナビリティに取り組んできた企業や、消費者にとっては有益な制度だ。
DPPの製品データが、消費者の購買判断や企業評価に影響を与えていく可能性もあり、それは環境保護の観点では大きなインパクトとなるかもしれない。
DPPの採用は2027年より加速し、2030年頃には全面的な導入が見込まれている。この流れをどのように読み対応していくのか、今企業は判断を求められている。
画像提供:Freepik