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投稿日時:2026.03.03
将来、子どもを持つかどうか――その選択をめぐる意識が、大きく揺れている。ロート製薬が発表した「妊活白書2025」によると、18~29歳の未婚男女のうち、「現在、そして将来も子どもを欲しいと思わない」と回答した割合は62.6%。なかでも女性は64.7%と、初めて男性(60.7%)を上回った。
「妊活白書」は、ロート製薬が2018年から継続して実施されている調査で、妊娠・出産を取り巻く意識や実態を可視化するもの。8年目となる今回は、とくに仕事やキャリアが子どもを望む・望まないの選択や妊活への行動に影響している実態が浮かび上がった。
若年未婚女性は、男性よりも「経済的な負担」や「仕事やキャリアへの支障」を強く不安視しており、その差は男性と比較して、約10ポイントにのぼる。また、子どもを望む人の第一子希望年齢は後ろ倒しが進み、平均は31.3歳。かつては20代での出産を希望する人が半数を超えていた女性も、2025年調査では約4人に1人まで減少したという。女性の社会進出が進むなか、それに追いついていない社会の歪みが伺える。
既婚男女(25~44歳・子どもなし)では、妊活に向けた取り組みは広がりを見せているが、子どもを望む人たちのなかにも「情報や認識の不足」という課題が見られる。
健康的な生活習慣やライフプランの検討など、前向きな行動は増加傾向にあるが、約7割が結婚してから初めて妊娠・出産に関する知識の収集を始めたと回答しており、学生時代など早い段階から情報を得ていた人は1割未満にとどまる。
また、「子どもを持つことで仕事のキャリアに支障が出る」と感じている人は男性52.0%、女性64.1%。それでも職場の上司や同僚に妊活について相談している人は1割未満で、多くが誰にも相談していない状況だ。
そして、妊活経験者(18~49歳・子どもあり)からは、より切実な声が聞かれた。
女性の約3人に1人(34.0%)が、希望していた時期より妊活開始が遅れたと回答し、とくに30代女性では4割以上が「希望通りに始められなかった」としている。その理由として挙がったのが、「妊活に関する情報不足や不安」(37.9%)や「仕事の都合やキャリアアップの機会を優先」(24.1%)だった。さらに、妊活経験者の約6割が「若い頃に正しい知識を得ておきたかった」「もっと早く準備を始めればよかった」と感じていることも明らかになった。
ロート製薬は、解決のヒントとして「早めに正しい妊活知識を得ること」と「子どもを授かる“前”からのサポート」の重要性を提示している。妊娠を考える前段階からの情報提供や職場の理解が広がることで、より広い視点を持って早くから人生設計を考えることができ、自分が望む選択をできるようになる。
子どもを持つという選択や妊活は個人的なものに見えて、じつは日本社会の認識や職場環境、働き方、育児支援など多くの要因が絡まっており、個人だけで解決できない面も多い。これらの問題の解決のためには、女性の社会進出のスピードに遅れない、日本社会のアップデートが急務といえそうだ。