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服を「捨てる」から「染める」という選択肢に。
黒染めの“再生”を全国へ

投稿日時:2026.03.04

クローゼットの奥にある、色あせた服や、汚れが目立って着なくなった一着。民布合同会社が運営するアップサイクルネットワーク「黒染め友の会」は、そんな衣類を真っ黒に染め直して“甦らせる”取り組みを、2014年から続けてきた。

そして今春も一般受付を2026年4月1日より開始し、同時に全国で受付を担うパートナー店舗の募集を本格化すると発表した。

12年目で「初めてのPR」をする理由

この取り組みが始まった背景にあるのは、個人では越えにくい「染工場の最低発注量(ミニマム)」という壁。

アパレルメーカーを経営する岩崎さんが自身の古着を黒染めしようとした時にこの壁に直面。「地域の店舗と協力して衣類を集め、まとめて染める仕組みがあれば、多くの人が気軽に衣類を再生できるのでは」と考えたことが始まりだという。

その実務面を支えたのが、岡山県玉野市の家族経営の手芸店「もめん畑」を営む福原さん。最初は10kgを集めるのも難しかった活動が、いまでは全国約30拠点の協力店を通じて、一度に約250kgもの衣類を扱うまでに育っている。

これまで「黒染め友の会」が大きな宣伝を控えてきたのは、年2回(4月・9月)の活動を回しながら、本部・染工場・受付拠点の三者が無理なく続けられる運用を整えるため。

12年かけて“すこやかに回る仕組み”ができた今、初めてプレスリリースとして広く呼びかける段階に来た、というわけだ。より多くの人とこの文化を分かち合いたいと考え、PRするに至った。

街の店が「服の相談窓口」に

「黒染め友の会」では、誰もが気軽に参加できる仕組みや価格感を大切にするため、受け付ける染め色は黒一色。また、思い入れの強い服や高価な服はあえて受け付けず、参加のハードルを上げずより身近な取り組みにする工夫も心がけている。

パートナー店舗での受付フローはシンプル。受付は年2回で、各店舗が4月・9月の任意の期間に実施。客から衣類と染め代を預かり、集まった分を翌月上旬に本部(岡山・もめん畑)へ発送する(往復送料は民布合同会社が負担)。

倉敷市児島の染工場で一括染色され、約1〜1.5ヶ月後に店舗へ戻り、店頭で客に返却するという流れ。店舗側が用意するのは衣類の重さを測るスケール(秤)のみで、受付に必要な部材やツールはその都度貸し出される。

2026年春の受付拠点は、岡山・滋賀・岐阜・東京・長野・広島・香川・鹿児島などに広がり、4月1日〜4月30日の期間内で各店舗が自由に受付日を設定している。また、手芸店やリフォーム店に限らず、リペアやメンテナンスに関心の高い店、ライフスタイルショップなども対象に、「地域の服の相談窓口」として一緒に取り組むパートナーを募っている。

「もう着られない」ではなく、「もう一度、新しい形で」。素材は問題ないのに、色褪せや黄ばみ、汚れなどで服が着られなくなった経験が一度はあるはず。今後は衣替えのタイミングでクローゼットを見直すときには、「染める」という選択も頭に入れておくと、思いがけない1着と出会えるかもしれない。