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投稿日時:2026.02.10
映画やドラマなどの現場で、俳優の身体や顔をデータとして記録する「デジタルスキャン」。VFX(視覚効果)やCG制作ではすでに一般的な工程となっているこの技術に対し、イギリスの俳優たちが拒否の意思を示した。
イギリスの舞台芸術・映像分野を代表する労働組合のエクイティは、組合員を対象に「撮影現場でデジタルスキャンを求められた場合、拒否するか」という投票を実施。その結果、99%が「拒否する」と回答したことを発表。投票率は75%で7,000人以上が参加したという。
AIが急速に広がる中で、俳優たちが自らの「容姿」や「演技の権利」を守るために強い意思表示をしたかたちだ。
AIと俳優の対立といえば、記憶に新しいのは2023年にハリウッドで起こったストライキ。俳優組合と脚本家組合が同時に3カ月以上に及ぶ長期のストライキを行い、数々の人気作品の撮影中断や、俳優がプレミアイベントなどへの不参加を表明などその影響は大きく、世界中から注目を浴びた。
そして今回エクイティもイギリスにおける俳優やパフォーマーの権利を守るため動き出した。
エクイティの事務総長ポール・フレミング氏は今回の投票について、次のように語っている。
「AIは、私たちの世代を決定づける課題です。そしてエクイティの映画・テレビ部門の組合員がストライキをも辞さない意思を示したのは、実に一世代ぶりのことです」
またフレミング氏は、イギリスで制作される映画やテレビ番組の約9割は、エクイティとの協定のもとで作られており、そこで働く俳優やアーティストの4分の3以上が組合員であると話し、彼らが一斉に拒否すれば現場が成り立たなくなる可能性があると釘を刺している。
エクイティの事務総長ポール・フレミング氏は今回の投票について、次のように語っている。
「AIは、私たちの世代を決定づける課題です。そしてエクイティの映画・テレビ部門の組合員がストライキをも辞さない意思を示したのは、実に一世代ぶりのことです」
またフレミング氏は、イギリスで制作される映画やテレビ番組の約9割は、エクイティとの協定のもとで作られており、そこで働く俳優やアーティストの4分の3以上が組合員であると話し、彼らが一斉に拒否すれば現場が成り立たなくなる可能性があると釘を刺している。
今回の投票はあくまで「示唆的投票」と呼ばれるもので、現時点で俳優がスキャンを拒否しても法的な保護があるわけではない。しかし、エクイティ側は「正式な投票」へと踏み切る切り札を持っている。制作側にとって無視できない警告となった。
エクイティは今後、今回の投票結果をもとに制作会社側と交渉を行い、デジタルスキャンやAI利用に関する最低限の基準を協定に盛り込むことを目指している。
デジタルスキャンとは、俳優の全身や顔、動き、声などをデータ化し、後からCGやAIで再利用できるようにする技術。危険なスタントの代替や、群衆シーンの制作などで広く使われている。
しかし俳優側が懸念しているのは、その利用の範囲が不透明なまま拡大していること。データがどのような範囲や管理のもとで使われるのかが明確でないまま、データだけが残り続けるケースも少なくない。また、俳優のエイドリアン・レスターは、キャリア初期の俳優ほどスキャンを断りづらい現実を指摘している。
最近では、AIによって生成された「俳優」が登場したことも、懸念をさらに強めている。何が許され、何が許されないのか。現状は業界としてのルール作りが追いついていない。
2023年に起きたハリウッドの脚本家・俳優ストライキでも、中心的な争点はAIの扱いだった。創作の現場で働く人々の役割そのものを脅かしかねないというAIへの危機感は、国境を越えて共有されている。
アニメーション業界も生成AIによる課題に直面しており、先月にはウォルトディズニーがOpenAIとの提携を発表して衝撃を与えたばかり。この提携により、OpenAIの生成AI「Sora」でディズニーキャラクターを使用できるようになる。これまで著作権侵害について世界でもっともと言えるほど強硬姿勢を示してきたディズニーが、AIとの協業に動き出したことは、いまや模倣地帯となったこの問題の難しさを表している。
規制が追いつかず急速に発展するAIの時代に、芸術はどこへ向かっていくのか。