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投稿日時:2026.03.06
先月オーストラリアで、16歳未満のソーシャルメディアの利用を禁止する法律「SNS利用禁止法」が世界で初めて施行され、世界中でその行方に注目が集まっている。
そんななかSNS利用がメンタルにもたらす影響について、JAMA Network Openに新たな研究結果が掲載されたと米nprが報じた。その研究によると、1週間の短期間でもSNSの利用を減らすことで、若年成人のメンタルヘルスが改善されたという。
主にスマホから距離を置く「デジタルデトックス」という言葉は数年前から知られるようになり、ストレスや疲労が軽減されると言われている。しかし今回行われた研究はさらに一歩踏み込み、対象はスマホの利用ではなくSNSの利用が対象。18〜24歳の若者373人が参加し実施された。
これまでの多くの研究では、参加者のスマホの利用時間や睡眠、気分の状態などは自己申告で行われており、データの信頼性が低いものも多かったという。そう指摘するのは、今回の研究を発表した、米ベスイスラエル・ディーコネス医療センターのデジタル精神医学部門ディレクターで精神科医のジョン・トーラス氏。
この研究ではより客観的にデータを測定するため専用アプリを導入し、参加者のスマホのデータ(SNS利用時間、歩数、睡眠)が直接研究者に送信される仕組みを取り入れたという。
最初の2週間はいつもどおりにSNSを利用してもらい、ベースとなるデータを収集。2週間後、参加者に自分のデータを開示しながら、うつ、不安、不眠、孤独感について質問し、そして「1週間のSNSデトックスを試してみたいか」と尋ねた。結果、80%がSNSデトックス実施に同意したという。
実験で参加者は、1日平均2時間だったSNSの利用時間を、デトックス期間には1日30分に短縮し、1週間の観察が行われた。その結果、デトックス期間が終わる頃には、不安症状が16%減少、うつ症状が24%減少、不眠症状が14.5%減少。最初の2週間でSNS利用時間が多かった人ほど、大きな改善が見られたという。
この結果について、アメリカ心理学会の戦略統合責任者で心理学者のミッチ・プリンスタイン氏は、「精神療法では通常、こうした症状の改善には8〜12週の集中治療が必要です」と話し、1週間の行動変化だけで同等の改善が得られたことを高く評価。
また、プリンスタイン氏は、SNSの利用時間が減っても“総スクリーンタイム”は減らなかった点に注目。参加者はSNS利用のみを減らし、スマホで他の活動をしていたという。デジタルデトックスはまったく行われていないということだ。「つまり、問題なのは“画面”そのものではなく、“SNS特有の何か”なのだとわかります」とプリンスタイン氏は指摘した。
18〜24歳の参加者が1週間でそれなりの効果が得られたとすると、16歳未満がSNSから離れることはかなり高い効果があると推測される。オーストラリアにて施行されたSNS利用禁止法につづき、ニュージーランドでも同様の法案が提出されており、フランスやデンマークをはじめ各国でも検討が進められるなど、世界で広がりを見せているSNSの規制。
この後オーストラリアでのSNS規制がどのような道筋をたどるのかが、今後世界でのSNSの行方をうらなうカギとなりそうだ。