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投稿日時:2026.07.02
全国各地で深刻化する放置竹林。森林や生態系への影響が懸念されるこの課題に、「食」という視点から新たな価値を生み出す取り組みが広がっている。国産メンマづくりを通じて、環境保全と地域経済を結びつける新しい地域循環モデルが動き始めた。
株式会社竹次郎 代表取締役 古賀貴大氏
全国で管理されずに放置された竹林が増え続けている。
竹は成長速度が非常に速く、条件によっては1日に1メートル以上伸びることもある。一度管理が行き届かなくなると周囲の森林へ広がり、在来植物を覆い尽くすほか、土砂災害や生態系への影響も指摘されている。
こうした課題に対し、福岡県糸島市の株式会社竹次郎は、幼竹をメンマの原料として活用する取り組みを進めている。
2026年度は約6万本の幼竹を伐採し、約125トンの国産メンマ用塩漬け原料を製造。日本国内で流通するメンマの99%以上が輸入品という現状のなか、国内最大級となる供給体制を構築した。
この取り組みの特徴は、竹林整備を環境活動だけで終わらせないことにある。
伐採した竹を食品として活用することで、竹林整備に経済的な価値を持たせ、「コスト」だった活動を地域産業へ転換しようとしている。
今年の加工には地域住民や生産者、学生、企業、行政など延べ約500人が参加。放置竹林という共通の地域課題に、多様な立場の人々が関わるプロジェクトとなった。
同社はこの仕組みを「糸島モデル」と位置付け、現在は全国35都府県の生産者や団体と連携。一次加工技術や運営ノウハウを各地域へ展開しながら、地域ごとの雇用創出や新たな産業づくりにつなげようとしている。
環境問題は、どうしても「守る」「減らす」といった我慢の発想で語られがちだ。
しかし、この取り組みは少し視点が異なる。
放置竹林をなくすことだけを目的にするのではなく、「地域資源」として新たな価値を生み出し、環境保全と地域経済、さらには食料自給率の向上までを一つの循環として捉えている。
サステナビリティが社会に浸透していくためには、「良いことだから続ける」のではなく、「続ける理由がある仕組み」を育てることが欠かせない。
メンマという身近な食材を入り口に、放置竹林を新たな地域産業へ変えていく挑戦は、その一つのモデルケースになりそうだ。
画像提供:株式会社竹次郎