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投稿日時:2026.11.07
突然の退職や休職によって、十分な業務引き継ぎができない。そんな事態に直面したとき、残された社員はどう対応すればよいのだろうか。
株式会社エコテックは、PC内の資料やメールからAIが業務内容を整理し、引き継ぎ書を自動生成する法人向けサービス「BATON(バトン)」を発表した。業務の属人化という組織課題と、AIを活用した新しい引き継ぎの仕組みに注目する。
退職代行サービスの利用や急な休職などによって、前任者に業務内容を確認できなくなるケースがある。特に問題となるのが、特定の担当者しか仕事の進め方を把握していない「業務の属人化」だ。
取引先とのやり取りや進行中の案件、日々の判断基準などが個人のPCやメールに残されている場合、後任者は膨大な資料を確認しながら、一から業務を把握しなければならない。エコテックがBATONを開発するきっかけとなったのも、社内の営業担当者の突然の退職だった。
残されたのは、デスクトップのファイルや約50GBのメール。管理部門が業務を引き継ごうとしても、どの資料が重要で、何を優先すべきかを判断することは容易ではなかったという。
一方、退職する側にとっても、通常業務を続けながら過去の仕事を振り返り、引き継ぎ書を作成することは大きな負担となる。こうした問題は、退職者個人の責任だけでは解決しにくい。担当者が不在になっても仕事を継続できるよう、業務内容を組織で共有する仕組みが求められている。
こうした課題に対応するため、エコテックが開発したのが「BATON」だ。
退職者のPCや共有フォルダに残された業務ファイル、メールなどをAIが解析し、業務の全体像を整理する。利用方法は、ブラウザから対象のフォルダを選択するだけ。専用ソフトのインストールは必要ない。
生成される引き継ぎシートには、進行中の案件や取引先の窓口、判断ルール、未完了の業務などがまとめられる。各項目には元資料を確認できる出典番号が付けられ、後任者が内容を照合できる仕組みだ。
さらに特徴的なのが、人間の後任者だけでなく、AIへの引き継ぎにも対応している点である。業務を「AIができる」「AIが下書きし、人が承認する」「人が担当する」の3つに分類。AIエージェントに引き渡すためのデータも生成し、業務の自動化につなげることを目指している。
また、本人確認書類や給与明細、口座情報などの機微情報は、外部送信前にブラウザ内で自動除外する設計としている。ただし、AIによる整理結果の正確性や情報管理については、導入する企業側でも確認が必要だ。BATONは、退職時の緊急対応だけでなく、産休・育休や介護休業前の引き継ぎ、事業承継などでの活用も想定している。
人が辞めるたびに業務が止まる状況を防ぐには、個人が積み重ねた仕事を組織の知識として残すことが重要だ。AIによる業務引き継ぎは、その仕組みをつくる新たな選択肢となりそうだ。
画像提供:株式会社エコテック