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投稿日時:2026.10.20
着るとき、洗濯するとき、私たちが日々着用している衣服からは、少しずつ小さな繊維「マイクロファイバー」が出ている。そしてこの繊維が、川や海の汚染につながっているという。
この問題に取り組むため、10月5日、ナイキやパタゴニア、ルルレモンといったスポーツ・アウトドアブランドを中心に連合が立ち上がった。
マイクロファイバーとは、服などの繊維製品をつくるとき、着るとき、洗うときに出る小さな粒子のこと。プラスチック由来のものも多く、合成繊維から出る繊維は、代表的なマイクロプラスチック汚染のひとつとされている。
意外なのは、これは化学繊維だけの問題ではない点だ。世界各地で活動する大手の環境保全団体The Nature Conservancy(TNC)によると、綿やウールのような天然繊維でも、染料や柔軟剤、加工剤が使われていれば、繊維汚染の原因になるという。またTNCは、一度環境中に出ると、小さくて散らばりやすいため、取り除くのは非常に難しいとしている。
この問題に取り組むため、新たにTNCが立ち上げたのが「Microfiber Action Alliance(マイクロファイバー・アクション・アライアンス)」(以降MAA)。創設メンバーには、ナイキ、パタゴニア、アンダーアーマー、ルルレモン、REI Co-opなどが連なる。今後、参加企業が増える可能性もある。
この取り組みの活動の場は、参加企業それぞれのサプライチェーンの中だ。各社が自社で対策を実際に試し、何が効果的かという知見を業界全体に共有していくという。
TNCは、衣類や繊維製品の生産そのものも、着ること、使うことと並ぶ大きな発生源だと説明しており、設計や製造といった「作る側」の段階での対策が軸になるとみられている。
アンダーアーマーの幹部は、TNCの発表の中で、繊維の出にくい構造を設計の最初から組み込むべき条件として扱うべきだとコメントしている。繊維業界専門メディアtextinationによると、対策の候補には、素材の選び方、生地の構造、製造工程の見直しなどがあがっているという。
またパタゴニアは、サプライチェーン全体に取り組むとともに、製品のライフサイクルを通じて繊維が出るのを減らす方法にも投資していると説明している。
ライフサイクルには販売後の着用や洗濯の期間も含まれるとみられ、そこで出る分も視野に入っている可能性があるが、TNCの発表ではその対策の範囲を具体的には説明していないため、どこまでの範囲かは今のところ不明だ。
洗濯によってもマイクロファイバーは放出されるため、洗濯で出た繊維を集める洗濯ネットなどが、これまでも販売されてきた。
しかし、服が洗濯でどれだけ繊維を出すかは、作る段階の判断に左右される可能性がある。専門メディアのTextile Todayによると、学術誌PLOS ONEに載った研究では、生地によって繊維の出方に大きな差があることが示されており、生地の作り方や素材、加工方法が影響するという。
MAAは、繊維が出る問題を減らすための科学やデータ、ツールづくりを進める業界組織The Microfibre Consortiumの取り組みを補う形で、実際の現場で対策を試していくという。
どこまでの範囲のマイクロファイバーに取り組んでいくかは明確にされていないが、作る段階の施策は、その後のライフサイクルにも影響する可能性は多いにある。「洗っても繊維が出にくい服」が、ブランド選びの基準になる日が来るのだろうか。各社がどんなソリューションを見つけ、それが新たなスタンダードとなっていくのか、続報に注目したい。
Photo:Magnific