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投稿日時:2026.09.01
昨今、止まらない物価高のなか、賃上げについての動きも盛んだ。初任給の高騰から“第3の賃上げ”と呼ばれる福利厚生の多様化まで、企業側もさまざまな取り組みを行っているが、ある企業は社員が自分で給与を決めるという斬新な制度を取り入れているという。
その人事制度は、企業にどんな影響を及ぼしたのだろうか。
この制度を取り入れているのが、富山・北陸エリアを中心に不動産事業を展開する朝日不動産株式会社。社員自身が給与を申告する「自己申告型給与制度(年2回)」を2020年12月から導入している。
この制度は、社員がこれまでの貢献と、今後取り組みたいチャレンジをシートに言語化し、役員との面談を経て、自ら「お給料」を申告するというもの。会社側は過去の成果だけでなく、「これからこういう挑戦をして会社と地域に貢献する」という未来の約束への「先行投資」として給与を決定する。
2025年12月の申告面談では、1回での最高昇給率が17%、全社平均の給与アップ率は4.1%。社員の97%が昇給した一方、3%は自ら給与を据え置く選択をしたという。
この背景には、本人や配偶者の妊娠・出産、育児、介護など、暮らしの変化がある。自身のライフスタイルの変化に合わせて、たとえば“これからの半年は家族を優先する”などの判断から、あえてセーブしている結果だという。つまり、ライフステージの変化とともに歩んでいける職場ということだ。
朝日不動産がこの制度を導入した理由は、「数字は伸びているが、社員が去っていく」組織崩壊への危機感だったという。不動産業界の一般的なスタイルは「歩合制」や「厳しいノルマ」といった数字で鼓舞するものだ。
しかし、そういう環境下で売上が伸びていても社員が疲弊して去っていく組織には未来はないと考え、背水の陣の改革へと踏み切ったという。そこには数字の奴隷から社員を解放し、自分の人生と仕事に責任を持つ自立したビジネスパーソンに育てるという目的がある。
実際にこの制度を導入してから、会社の売り上げは右肩上がりに成長。新卒の定着率は100%(直近2年離職者ゼロ)を達成している。
制度導入当初は、「自分で自分を評価し、給与の値段をつける」ことへの戸惑いや、上司側の判断基準が分かりにくいという課題もあったというが、改善を重ね、今の制度にたどり着いたという。
人材獲得のために賃金アップ競争にもなりつつあるが、企業も社員も両方が幸せになるためにはもっと本質的な改革こそが重要なことなのかもしれない。
画像提供:朝日不動産株式会社